東京都立新宿高等学校「金融経済教育公開授業」実施報告(2024年11月12日、12月6日開催)
主催:東京都立新宿高等学校
東京都金融広報委員会
金融経済教育推進機構
東京都立新宿高等学校では、「全員指導者たれ」の校是の下、「大家族主義」に根ざす教育活動を通じて、持続可能な未来を創るリーダーとなりうる人材を育成しています。
2024年11月12日(火)に金融経済教育公開授業を開催し、12月6日(金)に講演会を開催しました。
- ▼ 参加者内訳:
-
- 金融経済教育公開授業
- 生徒39名、外部参加者16名、外部講師2名、東京都立新宿高等学校教員3名、東京都金融広報委員会4名、合計64名
- 講演会
- 生徒109名、外部参加者(保護者含む)23名、東京都立新宿高等学校教員10名、東京都金融広報委員会5名、金融経済教育推進機構1名、計148名
1.公開授業
高校1年生を対象として、「資本主義と株式会社」をテーマに授業を行いました。
本授業は5時間で構成される単元の最後にあたり、この単元を貫く問いは「資本主義経済のもとでのこれからの株式会社のあり方とは?」としました。生徒たちはこれまでの4時間で、資本主義や株式会社に関する知識を学び、新宿に本拠地を置く3つの企業の10年後のあり方を構想し、ペアワークで練り上げてきました。本授業では、グループワークでさらに考えを深めた後、事業改善案をまとめ、発表しました。
発表では、地域の名産品を活かしつつ環境にも配慮した地域振興、脱炭素経営の推進と海外との人材交流、電車や駅のごみを活用して発電できる設備の開発など様々な事業改善案が提案されました。
授業の最後に、上記の3つの企業の一つである三井住友トラストグループ株式会社より招いた外部講師より、「自分たちで考えたことを言語化して議論し、発表するプロセスが大変すばらしかった。持続可能な社会をつくるには人が大切であり、皆のウェルビーイングを実現することが重要だと考えている。今日の発表には、環境やウェルビーイング、人材育成といったキーワードが含まれ、大変興味深く聞かせていただいた」との講評がありました。
(写真1:公開授業「資本主義と株式会社」の模様)
2.講演会
東京大学名誉教授の岩井克人氏より「これからの会社のあり方」と題し、講演を頂きました。
岩井氏は冒頭で、「会社とは株主のものなのか」と問いかけ、日欧米の経営者へのアンケート調査結果を紹介し、アメリカ・イギリスとドイツ・フランス・日本では、経営者の意識が大きく異なることを示されました。また、「会社」はヒト(法人)として会社資産を所有し、モノ(株式)として株主に所有される2階建て構造であると説明されました。
さらに、アメリカの世界的有名企業が、株主主権を否定し、資本主義的でないことを標榜しながら、最もイノベイティブとなり飛躍的な成長を遂げたことを例に挙げ、これからの会社は、株主の利益を増やすことのみを目的とする必要はなく、会社システムが多様性を持つことを理解し、株主主権的であることや共益的であることを選択できることが重要だと話されました。
(写真2:講演会「これからの会社のあり方」の模様)
3.プログラム
2024年11月12日(火)
- 14:05~14:55
- 公開授業「資本主義と株式会社」(公共)
東京都立新宿高等学校 主任教諭 長谷川 聡
三井住友信託銀行 新宿支店・新宿西口支店 支店長
2024年12月6日(金)
- 13:30~15:00
- 講演会「これからの会社のあり方」
東京大学 名誉教授 岩井 克人 氏